Vcc/2 のレゾンデートル - hpk
2017/03/03 (Fri) 20:44:18
また私の頭では解決できない問題が発生してしまいました。
なにを今更とお思いでしょうが、お付き合いくだされば幸いです。
ご教授のほどよろしくお願いします。
ESS正規のデータシートが入手できないので分からないのですが、DAC9018D基板マニュアルにある「メーカー推奨回路」の Vref はなぜ Vcc/2 なのでしょうか？
DAC出力インピーダンスを含めて反転増幅回路として考えたときの増幅率を１とすると、非反転入力の増幅率は ２。
出力には -Vcc/2 ＋ Vcc/2 ×２ ＝ Vcc/2 のオフセットが出るはずです。
非反転入力をグラウンドに落とせば -Vcc/2 です。
オフセットの極性が変わることに意味があるのでしょうか？
Vref ＝ Vcc*A/{2(A+1)}
なら出力はオフセットの無い交流になりますか？
増幅率 A=1 なら Vcc/4 です。
メーカ推奨回路のバランス出力 XLR_OUT にはカップリングコンデンサが入っていないので、オフセットは無いんじゃないかと思います。
交流にすればアンプの消費電力がかなり下がるんじゃないかと思った次第です。
Re: Vcc/2 のレゾンデートル - ヒロ＠帰省中
2017/03/05 (Sun) 22:23:46
>「メーカー推奨回路」の Vref はなぜ Vcc/2 なのでしょうか？
単純にIVアンプの消費電力を抑えるためじゃないでしょうか？
ES9038PROはゼロ出力のときに電位がVcc/2なので、このときはIVアンプに電流が流れこまないので、消費電力は最低に抑えられますから。ただし、Vref=Vcc/2としてもIVアンプの出力にはVcc/2の電圧が残るのはご指摘の通りです（イマジナリーアース電位がVcc/2ですからね）。
消費電流を気にしなければVrefはゼロでもよいのではと思っています（そのほうが、回路的にも簡単だし下手にノイズが入り込む要素が少ないのではとおもいます）。
「レゾンデートル」は「消費電力」だと思います。
Re: Vcc/2 のレゾンデートル - ダンベルカール
2017/03/05 (Sun) 22:48:38
オペアンプの尖頭出力電流が小さくなる点にしたのではないかと思っていましたが、オフセットがあって次段が差動アンプ回路だと1/2VCCで最小ではないかもしれませんねぇ…
ES9008の評価基板の回路図はESSでダウンロードできました。計算してみましょう。
その回路では低周波では差動アンプ回路の非反転側の入力インピーダンスが常に610Ω、非反転側がバーチャルショートにより差動信号に対し470Ω*(1-140Ω/610Ω)で362Ω、同相信号に対し470Ω*(1+140Ω/610Ω)で578Ω
IV段の出力オフセットが1.65V
IV段出力信号のピークは1.65V+(0-1.65V)*(-1*680Ω/(780Ω/4))で7.40Vと1.65V+(3.3-1.65V)*(-1*680Ω/(780Ω/4))-4.10V
ただし780Ω/4はES9008ステレオ構成の出力インピーダンス
ということで、重ね合わせの理で1.65Vの同相直流オフセットと、差動の片側の片側尖頭値は(7.40V-(-4.10V))/2で5.75Vと書けます。
IV段オフセットは同相なのでそれによる負荷電流は
非反転側が1.65V/610Ωで2.70mA、反転側が1.65V/578Ωで2.85mAこれだけ流れます。
信号は差動なので負荷電流の片側尖頭値は非反転側が5.75V/610Ωで9.43mA、反転側が5.75V/362Ωで15.9mAです。
オフセットと合わせて差動アンプ回路へ流れる最大の電流はIV段出力が＋のピークのときで、非反転側が2.70mA+9.43mAで12.13mA反転側が18.75mAです。
このときIV段出力からES9008の方へ流れる電流は5.75V/680Ωで8.46mAで、差動アンプ側へ負荷電流と加算すると非反転側20.59mAと反転側27.21mAです。
これが最小になる非反転入力のref電圧は方程式を立てて計算すれば出ますが…今回はここまでで…
Re: Vcc/2 のレゾンデートル - hpk
2017/03/07 (Tue) 23:30:15
ヒロさん、ダンベルカールさん、ありがとうございます。
なるほど、単純な話でした。
推奨回路のバランス出力 XLR_OUT にオフセットがあるわけない、と無駄な考えを巡らせすぎてしまいました。
放熱に困るようなら Vcc/2 を入れるとにします。
これからも質問させていただくこともあるかと思いますが、これに懲りずお願いします。